相鉄ストの原因は会社と労組の両方にある

相鉄のストライキを巡ってのブログ記事を見て、なんとなくもやもや感じていたことを書きたくなり。

ちなみに引用元のブログの方の意見とは異なっているが、あちらの作者の方は非常に穏当なご自身の意見を書かれているだけなので、それを批判する意図はない。 

当たり前だが、ストというのは、労働者が会社に正当な要求を伝えて、それが受け入れられなかった時、会社に対する抗議行動として行われるものである。ストを起こせる条件は厳密に決められていて、事前に十分な交渉がなければ正当なストは起こせない。

ストを起こしてしまった責任は、労働者ではなく会社にある。これは、労働者の免責という形で、きっちり法律で決められたことだ。

 

つまり、「ストなんて起こしやがって!!」と言われるべきなのは会社であって、労働者ではないのだ。当たり前のことだ。

 

ストライキが起きた時、ユーザーが労働者を批判するのは筋が違う。けど、「批判してはいけない」ということではない。: 不倒城 

ストライキは単に労使で意見の一致が見られなかったから発生したに過ぎず、そこから労働者側の要求の方が「正当だった」という結論は引き出せない。極端な話「全員の月給を100万円上げよ。さもなくばストライキする」という要求をもって「十分に議論を尽くし」、それでも使用者側がそれを拒否し、結果労働組合ストライキに入ったというケースも、論理的可能性としては考えられる。

たしかに労働者の免責は法律で決められてるが、それは「ストを起こしてしまった責任は、労働者ではなく会社にある」こととイコールではない。

「ストなんて起こしやがって!!」と言われるべきなのは使用者・労働者の両方であって、その責任の比率は実際の要求内容を見てユーザー各人が判断すべきで、どちらかが一方的に悪いと白黒つけられる話でもない。

今回の件がそうだったという意味では全くないが、「労組が公共交通機関という社会インフラを人質に過大な賃上げを要求し、結果的にユーザーが料金の値上げという形で負担を強いられる」ケースもありうる。

もちろん一般に労働者は使用側より弱い。ともすれば待遇というのは切り下げられがちで、詳しい状況が明らかになるまでは暫定的に労働者側に理があると仮定するのは合理的だろう。ただしそれはあくまで暫定的なものだ。

自分も含め電車に乗っているユーザーの大部分は私企業や公務員などに勤める「労働者」である。待遇改善してほしい労働者側の気持ちはとてもよくわかる、しかしその一方で自分が払う電車料金は妥当な水準に収まっていて欲しいという気持ちもあるのだ。

相鉄、相鉄労働組合のWebサイトを見たが具体的な要求は書かれていなかった(探し方が悪いのかもしれない)。双方とも是非具体的な要求を公開して堂々とそれぞれの正当性をユーザーに訴えて欲しい。